医学部予備校の合格率はうかつに信用すべからず

2023-05-22

ある意味改竄、合格率

業界の人にとっては「当たり前」。
しかし、業界外の人にとっては、もしかしたら「ショッキング」なことを書きます。

それは、予備校が公表する合格率を信じてはいけない、鵜呑みにしてはいけない、ということです。

実際に多くの予備校、特に医学部専門予備校は、生徒獲得のために虚偽の合格率の発表をしているところが多いと断言できます。

難関中の難関である医学部。
たとえ、どんなに優れたカリキュラムや講師を有している医学部専門予備校とて、生徒全員が合格することはありえません。
通う生徒のレベルだってピンキリです。
だから合格者は、多くても半分がせいぜいで、通常は3割前後かそれ以下というのが実情です。

合格者が半分だったら50パーセント、3割だったら30パーセントです。
しかし、「合格率34%!」と宣伝している医学部予備校には誰も通おうとは思わないでしょう。

だから、水増しやトリックを使って8割か9割の合格率を発表しているところが多いのです。
一言でいえば、「盛られている」というわけです。
ある意味「改竄」と言っても良いかもしれません。

おかしな数字の割り出し方

例えば、医学部専門のある予備校の話。

生徒15人のうち、実際に合格したのは3人でした。
この3人は優秀だったため、1つの大学だけではなく複数の大学に合格しました。

まあ多かれ少なかれ、医学部専門予備校の実態とはそんなものです。

15名中、3名が合格したので、合格率は20%です。

もちろん予備校によってはもっと合格率が高いところもあるかもしれませんが、医学部専門予備校の実態とは、だいたいそんなものです。

しかし、予備校としては「今年の合格率は20%でした」などと世間に発表するわけにはいきません。
一気にイメージダウンです。
生徒が入学してきません。

だから予備校側は「トリック」を使うのです。

たとえば、3人の合格者のうち、1人が6校、もう1人が5校、もう1人が2校に合格したとします。
すると、この年の「合格大学の数」は13校となります。

さて予備校はどうするのかというと、「合格者の人数」ではなく「合格校の数」でカウントするのです。

すると、全体の生徒数が15人で、合格校数が13校なので、合格率は86%になります。
「合格大学の総数」を、「生徒の人数」で割り算するわけです。

実際は20パーセントであるにもかかわらず、割り算に使うためにピックアップする数字を変えれば、あら不思議、なんと86パーセントに早変わり。

なんとも姑息な手ですが、予備校としては経営の浮沈がかかっている大切な数字。「実際に受かっている生徒がいるのは事実なんだから、これぐらいのことはやって当然だ」という発想になるのです。

もちろん、予備校が使う「トリック」はそれだけにとどまりません。

在籍していない生徒もカウント

他の塾や予備校に通っている生徒、あるいは独学で優秀な成績をおさめている生徒は、夏期講習や合宿などのイベントだけに参加することがあります。

正確に言えば、その予備校の生徒ではなく「ゲスト」という位置づけの生徒です。

大学入試シーズン終了後、予備校は「ゲスト」の生徒にも電話などで「追いかけ調査」をします。
この調査の結果、もし「ゲスト」の生徒が医学部に合格していた場合も「合格者」としてカウントをしてしまうのです。

この手法を用いて、100%近い合格率を打ち出している予備校も実際にあります。

このような予備校の合格者数を足すとどうなると思いますか?

なんと、全国すべての大学の医学部合格者数を上回ってしまします。

その合格者数は、5倍とも10倍ともいわれるほどですから、いかに様々な予備校が合格者数を水増ししているということがうかがえますね。

これは医学部専門予備校に限ったことではなく、通常の大学受験予備校もそうですし、のみならず専門学校ですらも、最近は「就職率100%」を謳っているところもありますが、まったくもって何を信じてよいのやらです。

まずは予備校が発表している数字に疑いの目を向けるという最低限のリテラシーは持つべきでしょう。

予備校選びの対策

だからといって、予備校の担当者に直接「おたくの予備校の合格率の数字は本当ですか?」などと直球の質問をぶつけないほうが良いと思います

。彼らの多くは、そのような質問がくることは想定済みな場合が多いのです。そして、そのような質問に対応するための脚本、客を納得させるためのロジックが頭の中に叩き込まれていますし、対処マニュアルを作っている予備校すらありますのですから。

そんなところに不躾に「本当なんですか?」と質問をしたところで、体よく言いくるめられるのがオチでしょう。逆に説得されてしまって、結局は入会し高い学費を気が付いたら払わされていたという事態に陥りかねないので注意が必要です。

良い予備校選びはとても難しいです。

もちろん、素晴らしいカリキュラムと講師陣を揃えている予備校も少なくありませんが、必ずしもそれらが生徒の実力を伸ばしてくれるものだとは限らないからです。

しかし、一流大学出身の講師が教えているという肩書きに騙されてしまう親や生徒は後をたちません。また、立派な教科書(教材)や、設備、ホテルのようなインテリアに騙されてしまう親や生徒も少なくありません。

難しい内容のテキストや、分厚い教材を見せられれば、「やっぱりこれぐらいやらないと合格しないわよね」と納得する親御さんが多いですが、果たして、あなたのお子様は、それをこなせるだけの学力、集中力、継続力をお持ちでしょうか?

予備校の売り文句や設備、教材だけを一面的に見るのではなく、肝心な受験生にとってそれらは相応しいものなのか、そうでないのかを見定める必要があります。予備校のことばかりを見て、肝心な受験する自分自身(親にとっては我が子)との相性を気にかける思考パターンを持っている人は存外少ないと感じています。

結論

大金を叩いて、素晴らしい(と思える)環境に放り込んでしまえば(在籍さえしてしまえば)それで安心だ、自動的に受かるだろうという考えは捨て去っていただきたいと思います。

この考えを持たない限り、もし入会しようかどうしようかと考えている予備校が利益中心主義のところであったら、いつまでたっても予備校の良いカモであり続けてしまうのです。

気になる予備校や塾があれば、向こう側の言い分や、美辞麗句だらけの自画自賛パンフレットやホームページだけではなく、客観的な第三者の評価(実際に通ったことがある人、グーグル・マイ・ビジネスや教育機関評価サイトの投稿など)もキチンとリサーチした上で慎重に決めるようにしてください。

医学部専門予備校

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