東京慈恵会医科大学入門
どんな大学?
東京慈恵会医科大学は、東京都文京区にある日本の医科大学の一つです。
1867年に開設され、日本の近代医療の発展に多大な貢献を果たした歴史を持っています。医学部・看護学部・保健学部・医療技術学部を設置しており、教育・研究の両面で高い評価を受けています。また、臨床医療においても高い水準を誇り、多くの医療専門職にとっての中心的な存在として位置づけられています。
慈恵会とは?
では、そもそも大学名にもある「慈恵会」とは何でしょう?
慈恵会は、日本の医療・福祉分野における非営利の団体で、1874年に設立されました。
慈恵会は、医療機関や介護施設を運営するほか、研究や医療従事者の育成なども行っています。東京慈恵会医科大学は、慈恵会が設立した医療機関のひとつであり、慈恵会が理念とする「慈愛の心をもって医療に取り組む」という思想を基盤に、医療・看護・保健・福祉の分野での高度な専門性を持った人材を育成している団体です。
東京慈恵会医科大学の歴史
では、東京慈恵会医科大学の歴史をざっくりと学んでみましょう。
東京慈恵会医科大学の起源は、1881年5月1日に高木兼寛が創立した医術開業試験受験予備校(乙種医学校)の「成医会講習所」です。高木は、海軍生徒として英国セント・トーマス病院医学校に学び、帰国後、権威ある医学校を日本につくりたいと思っていました。高木は、松山棟庵と共に「成医会」なる研究団体を設立し、翌年には成医会講習所を設立しました。
その後、高木は戸塚文海と共に、1882年に有志共立東京病院を設立しました。この病院の設立趣意は、貧困によって治療を受けられずに苦しみ続けている人々を救うことでした。この趣意は、高木が英国留学中に受けた人道主義や博愛主義の影響があったとされています。病院は有志の拠出によって運営され、有栖川宮威仁親王が総長を務め、大日本帝国海軍軍医団からの支援も受けていました。
有志共立東京病院は、慈善病院のほかに医学教育の場としても重要な役割を果たし、成医会講習所や海軍軍医学校の実習病院としても機能していました。1887年には皇后を総裁に迎え、東京慈恵医院と改名しました。また、看護婦教育所を設立し、日本での近代看護教育の始まりを築きました。現在の慈恵看護専門学校及び医学部看護学科、大学院医学研究科看護学専攻修士課程は、この流れを汲んでいます。
1907年に社団法人東京慈恵会が設立され、経済的支援をすることになったため、東京慈恵医院は東京慈恵会医院と改称され、医学専門学校も東京慈恵会医院医学専門学校と改められました。
1921年に医学専門学校は東京慈恵会医科大学に昇格し、高木家私有の東京病院が大学に寄付されたため、医科大学として附属病院を持つことになりました。
その後、学制改革により新制大学となり、大学院医学研究科博士課程、医学看護学科、看護学専攻修士課程が設置されました。
慈恵の英語
慈恵医大の英語試験は、近年大きな変更があり、文法問題は出題されなくなり、長文読解が中心になりました。語彙レベルも高く、医療系・自然科学系の素材が使われます。試験時間は60分で、長文読解問題が3題出題されますが、そのうち1題に意見論述型の英作文が含まれます。解答形式は、英作文以外はすべて選択式で、2020年より全問英問英答となり、日本語の設問指示よりも注意を払って読み取る必要があります。英作文は意見論述型で、本文を読む前に設問を読んで内容を考え、合わせて利用しやすい表現も探しながら読むことで時間を節約することができます。
慈恵英語攻略のポイントは、難しい単語を理解できるようにすることと、読解力を向上させることです。受験レベルの単語集やテキストで高いレベルの単語を学習することが大切で、単語力があれば長文問題での推測箇所を減らし、速読力を高めることができます。
読解問題は試験での比重が高くなっているため、時間内に解答を終わらせるためには速読能力が必要です。句や節ごとに意味を把握し、ニュアンスの分かるものは日本語に訳さずに読み進める習慣を身につけましょう。一定レベル以上の英文解釈能力を身につけたら、スラッシュを入れながら訳読みするトレーニングや音読を行うことで、前から読み下す習慣を身につけ、内容を理解しやすくなります。医療系のテーマを扱った英文も読むことをおすすめします。
慈恵数学攻略
東京慈恵会医科大学の数学入試対策と勉強法についての特徴と時間配分は以下の通りです。出題範囲は確率、微積(数Ⅲ)、数列、極限が頻出で、過去問をやりこんだ後は必ず過去問をやることが重要です。また、全分野をまんべんなく学習しておくことが必要です。
試験時間は90分あり、他の私立医学部や東北大学くらいまでの旧帝国大学医学部の入試問題と比べても、難易度は非常に高いため、十分な時間があるとは言えません。毎年大問が4問あり、1番が穴埋めで、2、3、4番が記述式です。非常に難しい問題も出されますが、パスしても合否には影響しないでしょう。
穴埋めの問題は部分点がないため、計算ミスやケアレスミスには十分注意する必要があります。また、記述問題は数Ⅲ分野で非常に煩雑なものがあるため、完答しないと点数が極端に減ることがあります。そのため、日本医大や慶応医学部の過去問も演習しておくと良いでしょう。
慈恵の数学対策においては、以下のポイントが重要です。
計算力・処理能力の強化:計算練習を日常的に取り入れ、問題演習での計算ミスに対して真摯に向き合うことが大切です。
微分積分について:最重要分野であり、処理に手間のかかる問題が多く出題されます。素早く正確な計算力を身につけることが必要です。
ベクトルについて:大問でよく出題され、空間ベクトルを扱うタイプが多いです。数多くの問題演習が必要です。
確率について:大問1で出題されます。標準的な問題に対応できるようにする必要があります。
過去問演習など:教科書傍用問題集レベルの問題は満遍なく確実に解けるようになってから、少しずつ難しめの問題集に取り組むことが重要です。過去問を少なくとも5年分こなすことで、慈恵の数学についての感覚的な理解を深めることができます。慈恵レベルの数学は他の医学部の数学よりも難しく、典型問題の組み合わせだけでは合格点に達することは難しいため、しっかりと実力をつけることが必要です。余裕のある受験生は、日本医大や慶応医学部の過去問にも取り組んでみることをおすすめします。
まとめ
いかたでしたでしょうか?
ますます東京慈恵会医科大学に入りたくなりましたか?
それとも数学の難しさから別の大学も考えてみようと思いましたか?
いずれにしても、とても魅力のある大学なので、ますます入学したいと思った人は、合格を目指してガシガシ受験勉強を頑張ってください!