医学部生に求められるコミュニケーションスキル
重要なコミュニケーション能力
医学部生に求められるコミュニケーションスキルは何でしょう。
また、これを高校時代や浪人時代から培うにはどうしたら良いでしょう。
医学部生のコミュ力
医学部生に求められるコミュニケーションスキルは以下のようなものがあります。
まずは、これは必須ですが、患者とのコミュニケーション能力です。
医学部生は将来的に医療現場で患者と接することになります。
患者とのコミュニケーションは信頼関係の構築や情報の共有に重要です。患者の症状や意見を正確に理解し、的確な情報提供や共有を行うことが求められます。
また、どんなに患者さんと良い人間関係を構築できたとしても、「チーム内」でのコミュニケーション能力が欠如しているようであれば問題です。
医療現場では複数の医療スタッフと協力して患者のケアを行います。チーム内での円滑なコミュニケーションや情報共有は絶対に必要です。適切なタイミングで意見を述べたり、他のメンバーと協力して問題解決に取り組んだりする能力が求められます。
伝える力
患者さんやチーム内以外にも、必要な能力はまだまだあります。
それは、プレゼンテーションスキルです。
医学部生は研究や臨床の結果を報告する機会があります。
適切な情報の伝達や聴衆の理解を促すために、明確なプレゼンテーションスキルが必要です。
これらを鍛えるには
これらのコミュニケーションスキルを医学部の大学に入る前から、つまり、高校時代や浪人時代から培うためには、以下の方法が有効です。
まずは、ディベートやプレゼンテーションの練習です。
これは、やろうと思えば様々な機会を利用することが出来ます。
学校のクラブ活動や地域のボランティア活動などでディベートやプレゼンテーションの機会を活用し、自身の意見を述べるスキルやプレゼンテーションの方法を学ぶことが出来ます。
さらに、近隣にNPO法人や、ボランティア活動の団体があれば、それらのグループ活動に積極的に参加することも有意義なスキルアップの経験につながることでしょう。
それはなぜか。
グループ活動では他のメンバーとのコミュニケーションや協力が求められます。
クラブ活動やチームスポーツなどで積極的に参加し、協調性やリーダーシップのスキルを養うことが出来ます。
ボランティア活動は、出来れば医療施設でのボランティア参加が望ましいです。
もっとも、最近はなかなか継続的に病院などの医療施設でのボランティア活動をすることは難しくなっていますが、医療施設でのボランティア参加は、将来的に患者とのコミュニケーション能力を向上させるために、1日体験ボランティアなどを積極的に行っている病院などもありますので、それらの医療施設をマメにリサーチしてみると、案外家の近所で見つけることが出来るかもしれません。
将来に備えて今こそやっておきたいこと
ほかに出来ることといえば、エンパシーの養成ですね。
高校時代や浪人時代から、他人の気持ちや立場に共感し理解するエンパシーの能力を養っていくことを意識すると良いです。
これは将来、患者とのコミュニケーションをすることを考えると、今のうちに訓練しておくことは非常に重要です。
文学や芸術を通じて他人の経験や感情に触れることや、相手の視点に立って考える習慣を身につけることが役立ちます。
中には、舛添要一元都知事のように「シェイクスピアも読んだことのないような医者に自分の主治医いにはなって欲しくない」という発言をする患者さんもいますので、文学や芸術作品などに常に触れて、エンパシー能力を養うことは非常に重要ですし、将来医局に入ると忙しくて、なかなか腰を据えて芸術作品に触れる時間といものが取れなくなります。
ですので、時間がある今こそ、エンパシー能力を養う機会を意識的に作ることが必須です。
コミュ力を学ぶ
コミュニケーションスキルを学ぶにはどのようにしたらよいでしょう?
これはなかなか高校生の段階では難しいかもしれませんが、コミュニケーションに関連する講座やセミナーに参加したり、書籍やオンラインコースを通じてコミュニケーションスキルを学ぶと良いです。
効果的なコミュニケーションの技術やコミュニケーションにおける認識の重要性を理解することができますし、いかに自分は友人と家族という狭い人間関係の枠組みの中だけで、信頼関係に依存したコミュニケーションしかとっていなかったかということに気付く機会になるかもしれません。
また、最近では、ロールプレイやシミュレーション演習を積極的に取り入れている私立の高校もあります。
医学部の教育プログラムや予備校のカリキュラムに組み込まれている場合がありますが、もしこのようなトレーニングメニューを組みこんでいる高校に通う高校生であれば、積極的に参加してみるのも一つの手でしょう。医療シーンのシミュレーションや役割演技を通じて、患者との対話やチームメンバーとのコミュニケーションをトレーニングすることは、患者さんや患者さんの家族からの信頼関係を構築する上では非常に有益なことで、最近は大阪大学の大学院では演劇作家を講師に招いたり、群馬大学医学部でも即興で演劇をする授業が設けられてもいます。
群馬大学医学部の演劇の授業といえば、最近は、大量の留年生がこの授業で生じたという報道がされたことは記憶に新しいですが、それだけ感情の起伏に乏しい医学部生が世の中には多いということが明らかになったともいえるでしょう。
フィードバック
そして、最後に「フィードバックの受け入れと改善」です。
自身のコミュニケーションスキルを向上させるために、周囲からのフィードバックを受け入れる姿勢を持ちましょう。
友人や教師、家族など信頼できる人々からの意見やアドバイスを真摯に受け止め、自己改善に繋げていきます。
これは意識しないとなかなか出来ないことですので、常日頃、意識的に周囲の意見に耳を傾け、自分の内面を改善していくことを意識しながらの生活を心掛けていきましょう。
まとめ
将来医師として活躍することを考えている方は、知識や技術だけではなく、上記のような継続的な努力と実践が必要です。
ですので、大学に合格してからゼロから頑張ろうと考えるのではなく、早い段階からコミュニケーションを意識しながら日常生活を送ることは大切なことです。
高校時代や浪人時代からこれらのアプローチを取り入れることで、医学部生としてのコミュニケーションスキルを積極的に発展させていきましょう。
もちろん勉強面もとても大変かもしれませんが、それだけに埋没することなく、常日頃からコミュニケーションスキルの向上を意識しておくことが大事だと思います。
なにしろ医療とは究極の「対人」の職業なのですから。