大学受験勉強の比ではない医学部入学後の大変さ

2023-07-18

入学後のほうがむしろ大変

苦労して大学の医学部に合格しても、むしろ大学入学後のほうが大変であるといっても過言ではありません。

現在、医学部を6年で卒業できる学生は少なく、卒業までの平均年数は8年といわれていることからも頷けます。

いうまでもなく、医学は非常に厳しい学問分野の一つです。
ですので、当然のことながら、大学での勉強は大変であるということは、医学部を志す受験生であれば、ぜひ頭に入れておいて欲しいことではあります。

では、医学部入学後の大学での「学び」の難しさや苦労はどのようなものがあるのでしょうか?

高校までとは異なるテキスト

まずは、広範囲におよぶ知識を習得しなければならないということです。

医学は広範な知識領域をカバーしており、解剖学、生理学、病理学、薬理学など様々な分野の知識を習得する必要があります。それぞれの分野において深い理解を持つためには、大量の情報を効果的に学習、インプットし、それを頭の中で統合、そしてアウトプットできる必要があります。

それに伴い、多岐にわたる難解な教科書が多いです。しかも高額で分厚い専門書が多いですね。

これら医学部の学びに使用するテキストは、専門的な用語や図表が多く、内容も高度なものが多いです。
これらの教科書は、高校、浪人時代までに使ってた受験用の問題集や参考書とはかなり毛色が違うため、初めて手にした学生は、とまどい、学習に苦労することもあります。

重たくて持ち運びが大変というのならまだしも、これらの専門書、教科書を開くことに「気が重い」という抵抗感を抱く学生も少なくありません。

スケジュール管理

教材面は、高校まで使用してた学参類とはかなり異なりますが、大変なのはそれだけではありません。

スケジュールも多忙です。
想像以上に大変なやりくりに四苦八苦している学生も少なからずいます。

医学部では講義、実習、病院での臨床実習など、さまざまな学習活動が同時に進行します。
ですので、時間管理や効率的な学習計画の立て方が求められます。
また、臨床実習では長時間の勤務や緊張感のある状況で患者さんと接することもあり、身体的、精神的にも負荷がかかることがあります。

それだけ、医学の学習は時間と労力を要するのです。
長い時間をかけて教科書や参考文献を読み込み、概念を理解し、情報を覚える必要があります。また、臨床実習や手技の習得にも時間を費やさなければなりません。

さらに、医学部の学生は医師になるためには国家試験をパスする必要があります。
ですので、常に国家試験を見据えた学習が必要ですし、成績を維持しつづけなければなりません。
そのためには、大学受験の時よりも多くの勉強量が求められます。また、医学部では定期的な試験があり、高いレベルの知識と技術を示す必要があります。

勉強以外にも大変

以上が、勉強面中心の困難さですが、それだけではありません。
精神的にも強く、逞しくある必要があります。

なぜかというと、医学は人の健康や生命に関わる分野であり、患者さんと向き合う必要があります。それにともない、倫理的・情緒的な困難も病気や苦痛に直面することもあるでしょう。そのような状況に対して倫理的な判断や精神的な負荷がかかることもあります。

つまり、ストレスとプレッシャーがかかるということです。
医学部の学習はストレスやプレッシャーが伴うことがあります。試験の準備や成績の追求、将来の責任の重さなどが心理的な負荷となり得ます。
よって、適切なストレス管理や心のケアが求められます。
医学部のある大学の中では、運動部の活動が盛んなところもありますが、運動でストレス解消と同時に脳の活動を活発にするというのも一つの手でしょうね。

国家試験にパスした後も

これらの難関をクリアすると、後はバラ色の道が用意されているのかというと、そうではありません。

医学は絶えず進歩しており、新しい知識や技術が出てきます。医学の専門家として、学位取得後も継続的な学習と情報のアップデートが求められます。常に最新の情報に追いつくための努力が必要です。

そう、常に勉強、一生勉強をしつづけることが求められるのが医師の仕事なのです。

さらに、国家試験パス後は研修医としての修行が待っています。
病院の臨床現場で働きながら学ぶ研修医の生活も、決して楽なものではありません。

大変な研修医生活

まずは、とにもかくにも長時間労働であるということでしょうね。

そう、研修医には非常に長時間労働が求められます。

もちろん勤務時間は法律で制限されていますが、実際には長時間労働が珍しくありません。

夜勤や週末勤務も頻繁にあり、休日や連続休暇を取ることが難しい状況です。

それに伴い、疲労と睡眠不足がのしかかてきます。

長時間の勤務や夜勤により、研修医は疲労と睡眠不足に悩まされることがあります。連日の勤務で十分な休息が取れず、身体的・精神的な負担が重くなることがあります。

また、長時間労働からくる仕事とプライベートのバランスの難しさものしかかってくるでしょう。勤務時間の長さや不規則なシフト勤務により、仕事とプライベートのバランスを取ることが難しい状況になり、人付き合いにもかなりの変化が訪れることは覚悟しておいたほうが良いでしょう。

さらに、高い責任とプレッシャーに苛まれる研修医も珍しくありません。
研修医は患者さんの診療や治療直接たずさわることになるので、この責任とプレッシャーは非常に大きく、ストレスの原因となることがあります。

さらに、研修医は専門領域において深い知識と技術を身につける必要があります。
研修期間中は、日々の臨床業務に加えて、自分自身の知識とスキルをアップデートさせるための勉強時間を確保し、医学の最新情報や治療の進歩に追いつく必要があります。

その上、これは勤務する病院の職場環境によっても左右されますが、病院によってはパワハラまがいの厳しい指導や、底意地の悪い指導者や現場の責任者からの厳格な評価が行われることがありプレッシャーとなり、ひどいときには鬱病にかかったり、自殺につながることにもなりかねません。

まとめ

いかがでしたか?

「医師になれば金儲けができる」
「人から尊敬される」

たしかにそうかもしれません。
しかしそれは、数えきれないほど多くの苦労の末に勝ち取れるものだという認識を持つ必要があるでしょう。

もちろん、大変で辛いことだけが医師という職業ではありません。
大変ではありますが、同時に充実感とやりがいを感じることができるでしょう。

患者さんからの「ありがとう」という言葉や、回復した患者さんの笑顔を見た瞬間、今までの苦労が報われ、それを生き甲斐にますます意志としての職業意識を高めている医者も大勢いらっしゃいます。

並大抵ではない世界ではありますが、そのぶん、生涯、全身全霊をかけて取り組むに相応しい崇高な職業であることはいうまでもありません。

ですので、医師を目指す受験生の皆さま、これかれの人生も大変なことが待ち受けているかもしれませんが、その時の大変さに挫けないためにも、「たかが」大学入試の勉強で音を上げないで欲しいのです。むしろ、答えのある世界で苦しんでいるようであれば、医師の道をあきらめたほうが良いのかもしれません。

つらく大変かもしれない大学受験勉強かもしれませんが、これは将来医師として活躍できる資質があるかどうかを見極める一つの「試練」として受け止めましょう。

この関門をクリアすることが出来れば、力強く医師への道を歩むための足腰と基礎体力が形作られているはずです。

医学部受験

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